Lyrics

かげろう

詞/曲 sato

あてもなく 方向を定めず
嫌いだった知らない世界へ行こう
命は嘘をつかず ほほを染める オレンジ色に

あなたの背中から
目に見えないユラユラかげろう
誰かの想い運び
いくつも重なり合え I am you

「懐かしい」と「寂しさ」は同じ
遠い昔旅立った場所
またいつか繰り返し
会えることを意味するなら
連れてってくれ
行くべき場所へ

幸せを掴めないときは
何もかも見失ってしまうから
ふちどりを消してみる
隔てあうものは溶けて混ざり合うよ

何度なくしても
手にしたものに恐れはいらない
かすかな記憶をたどり
新しき明日を選べ

あなたを通り抜ければ
全ての涙流れる
目に見えないユラユラかげろう
約束の時はもうすぐ
待っててくれ
あなたの場所で


リレーション

詞/曲 真琴

つながってるよ 今日出会えたこと
つながってるよ ここにいることも
つながってるよ 泣いてたこと
つながってるよ 手放したことさえ

手を離したときはじめて
つかめるのでしょうか
積み木をつみましょう
ここが僕たちのステージ

つながってるよ 失ったこと
つながってるよ 描いた場所、離れた距離
つながってるよ 君と僕
鏡のよう 出会うのでしょうか

宇宙がほころんで 
2つの目になりました
出会いをつみましょう
ここが僕たちのステージ
手を離したときはじめて
つかめるのでしょうか
積み木をつみましょう
ここが僕たちのステージ


ピース

詞/曲 sato

昨日は怒って泣いたり
心を閉ざして目をつむる
疲れたら素直でいていいんだ
心晴れるまで雨でいいんだ

いつか
君自身が本当のPEACE
君は僕のかけら SO PIECE
君自身が本当のPEACEなら
君と僕は同じSO PIECE

叩いた言葉はいつまでも
自分を愛せないあなたのそばにいる
温かい雨が肩を濡らすだろう
嫌がってふいても しみ込んでいく

いつか 
君自身が本当のPEACE
君は僕のかけらSO PIECE
君自身が本当のPEACEなら
君と僕は同じSO PIECE

決まっていたんだ
生まれる前から
その種を食べて
また咲くんだ
でこぼこの君を
太陽がとらえて
背中を向けても
ずっと包んでる


はじまりの歌

詞/曲 真琴

毎日失敗するぼくは
毎日みんなに笑われる
でもぼくは毎日
スタートできるんだ
じだんだを踏んでる君は
やがて世界を揺らすんだ
でもそのことを今は誰も知らない

100万回失敗すれば
100万と1回新しくなる
そうすればいつか遠い遠い君の
ところへ行けるかもしれない
小さな小さなぼくは
毎日背伸びして転んでる
でもぼくは毎日スタート
できるんだ 

100万回失敗すれば
100万と1回新しくなる
そうすればいつか
遠い遠い君の
ところへ行けるかもしれない

涙がにじんで、でも見せられなくて
気づかないフリして生きてる
平気な顔して、無理でも笑って
lalalalalalala遠い君のために
僕は歌うよ


フェルマータの月

詞/曲 sato

アワダチ草揺れている
名もなき土手一面に
トンネルを抜け 次の 街へ走る 途中

君に送ろう目を閉じて
思うだけでとどくんだ
夕焼けがせめて来た ころびそうだ
追い越される・・・・

探してる景色に
ぴったり合う言葉はなあに?
山のまん中に月が見えてきた
時間ばかり気になって ほんとは失うのが怖い
変わってゆく空の上
フェルマータの月

いつも違うカタチであの子は
僕らを放ち とじこめる
夢の続きをみてごらん
怖がらずにここへ来て
なんとなく登った階段にも意味がある

朝が来て消えても みえないだけで終わりじゃない
生まれ変わった景色をほんとは欲しがってる
探してる景色に ぴったり合う言葉はなあに?
山の真上に月が生まれた
探してる景色に ぴったり合う言葉はなあに?
山のまん中に月が見えてきた
時間ばかり気になって ほんとは失うのが怖い
変わってゆく空の上
フェルマータの月


テディ

詞/曲 sato

だまされて立ったまんまのテディ
みんなが帰っても動かない
君が何も信じないなら
形を変えて生まれ変わるまで

ふりむかない頑な迷子
下を向いてタイルの数を数えている
小石の先で砂に何を描く

走れ走れ 悲しみより早く
走れ走れ 涙より遠く
光くぐり 新しい僕よ
走れ走れ

金ぴかのコップで水を飲む
メッキがぼろぼろはがれていく
そろそろ君も 気づくのさ
体のどこかが 温かいから

下手くそな頑な迷子
弱いくせに口を結んで笑っている
待ってるんだ君の中にいるテディ

走れ走れ 悲しみより早く
走れ走れ 涙より遠く
光くぐり 昨日より長く
走れ走れ


メッセージ

詞/曲 sato.真琴

今日も一日楽しかったかい
君のまぶたが ゆっくり閉じて
温かい その手と足を
なでていると
悲しみも とけてゆくんだよ

たくさん話して 笑ったね
ベットの毛布に くるまりながら
やわらかい おでこに
口をつけると
どうしてだろう 勇気がわいてくる

すべてはちょうどいい
ちょうどいいタイミング

やがて僕らは 旅に戻る
君は君の 行き先を  
自分の足で 振り返りもせずに
行くんだろうね
君のこと見ているずっと

すべてはちょうどいい
ちょうどいいタイミング 


Re-member

詞/曲 真琴

ラジオを持って扉をあけて そっとこぎ出す
誰もいない道 ペダルは回る
生まれたときにもうそばにあって 歌っていたラジオは
自分を探してると なくしたんだよ

いつか忘れて 時間はたった
鳴らないラジオは待っていたんだ

君が立つ足の下 オリオンがあって
どこにいても どんな時も
メッセージは流れていた
覚えてるかい

変えられない周波数 ここではならないね
旅に出ようよ 約束の場所
耳をすまして息をすれば 聞こえる歌がある
すべては満たされ 失わないと

たった一つのメッセージ
ならないラジオは鳴っていたんだ

君が立つ足の下 オリオンがあって
どこにいても どんな時も
メッセージは流れていた
聞こえてるかい

生まれたときもたされた ちっぽけなラジオ
どこにいても どんな時もメッセージは
流れて 出会って たどりつくよ
覚えてるかい


ランドスケープ

詞/曲 sato

今日一日の出来事を
知らない誰かにつぶやく
独りよがりの言葉は虚しい
心の内のどこまでを
打ち明ければ休まるの
真実=絶望と口々に言う
こっちを向いて
誰か応えて…と君は叫ぶ

過ちはくり返された
間違いを認めない僕らは
ありもしない未来を夢見てる
誰か任せの未来を夢見てる

欲張りな誰かが
忘れているうちに
手のひらから落ちる石
すくって口に運ぶ影
上書きされた背景には
塗りつぶされたメッセージ

その風景はこう言った
ここには2つの道がある
君の風景はこう言った
どちらか選ぶだけさ
真実の扉を開ければ
そこには2つの道がある
君の風景はこう言った
自分で選ぶだけさ
自分で決めるだけさ
希望を描くだけさ
ストーリーは始まっていた
昨日とは違う世界を
壊れた窓から見ようとしている
ふたつに別れた心と地図
問い続ける人々は
それでも愛を選ぶのをやめない

全ての影はいつか
砂となり消え去り
光も消えた時
何を抱きしめるのだろう
目隠しされた背景には
あなたを守るメッセージ

君の風景はメッセージ
あなたを守るメッセージ


音楽は旅をして

詞/曲 真琴

音楽は旅をして
ここにたどりついたんだ
言葉のない約束を
交わしていたから

トラックに乗る君
帰り道急いで
見上げた窓
あの明かりが
君の音楽なんだね

Oh………
何も終わっちゃいないのさ
Oh………
何も始まっちゃいない
音楽は旅をした
荒野をめざしていたんだ
孤独の意味を探して
街から街へ

リサイクル屋にならんだ
夢のかけら達を
いつか迎えに行くのさ
もう少しここにいて
いいかい?

Oh………
何も終わっちゃいないのさ
Oh………
何も始まっちゃいない
ダッシュボードに
一日が沈んでいく
ポケットの中
しまいきれないものは何だい?
いつだって見ているんだ
誰も知らない
君の毎日を

Oh………
何も終わっちゃいないのさ
Oh………
何も始まっちゃいない

音楽は旅をして
ここにたどりついたんだ
いつだって聴こえて来るよ
君は音楽


2hands

詞/曲 sato・真琴

手をつないで帰ろう両足の靴を鳴らして
話そう星が出るまで明け方の雨
抱きしめる時に夢はかかり
消えてしまうから記憶にする
忘れてしまった違う過去も
同じ手をつないだ

手のひらを開いて合言葉を探せば
目をつぶってもたどり着ける

100通りの明日が 100通りの僕らを
100通りに唄ってくれる
あなたの優しい手で私の手をつないで
私の小さな手であなたの手をつなごう

地球は回りこの場所へ全てはここへの道標
遠い遠い昔から旅をして 
また出会えた君と僕
だからこんなに懐かしい
もう言葉はいらない

君を待ちながら何度も宇宙が回る
涙も幸せもこの手で創るんだ


Review

「つながり」の音楽が生み出す
ネオ・アコースティックの波動

音楽ライター 宮崎よしあき


jamzIp(ジャムジップ)が紡ぎだす音楽には一貫したテーマが感じられる。
「つながり」。
似たような言葉で「絆」という言葉があるが、それと比較すると緩やかに感じ、より優しい人間的温かみを感じるのは私だけだろうか。
jamzIpの音楽は「つながり」の音楽である。
「つながりたい 今すぐに どこにいても ここにいる」
これは、2004年発表のデビューアルバム「それでいいんだ」のTrack1「Introduction」の歌詞。演奏時間16秒。 この歌詞と30秒も満たない曲がjamzIpの音楽に宿る魂そのものであり、人間関係の「砂漠化」が激しい現代の中で投げ込まれた、熱く心に響く言葉となった。
その魂は2006年の2ndアルバム「censord で爆発した。「新しいアコースティックパンクの夜明け」と銘打ち、社会的閉塞感を打破したい老若男女から熱い支持を受けた。 しかし収録の一部の曲が関西の某ラジオ局で、平和を考えるイベントのPRのために出演した人がオンエアを要請したところ、放送局側は「政治的メッセージが強すぎる」という理由で「放送禁止=Censord にされたというエピソードがある。それだけアルバム「censord」は、関西を中心に大きな話題を呼んだ。 それから7年の2013年。彼らが生み出す音楽の魂は成長し、新しい「つながり」の音楽として結合した。 そして…、スタジオから解き放たれた。

さてここでjamzIpのヒストリーを簡単に紐解いてみることにしよう。
jamzIpは、別々でストリートミュージシャンとして活躍していた、ギターの真琴とキーボードのsatoが出会い2001年に神戸で結成(当時のsatoはギターを弾いていた)。神戸を中心にした音楽活動をスタートさせる。結成当時のユニット名は「jamzip」。「i」は小文字だった。
2004年に先述したアルバム「それでいいんだ」でデビュー。 2005年にドラム&パーカッションのヒロトが加入。それに伴いユニット名も「jamzip」から「i」を大文字に変えて「jamzIp」に改称。3人編成のユニットとなる。 この頃「アコースティックハートデリバリー」と題した神戸でのライヴイベントや全国ツアーを展開。イベント・ツアーと同時並行で神戸の高校生との楽曲制作授業を行った。この模様はNHK神戸放送局で放映された。
2006年に先述した2ndアルバム「censord」をリリース。地元・神戸では大手レコードチェーン店でのインディーズ部門の予約チャート・発売チャートでベスト10入りを果たし、話題になる。
その後、jamzIpが主催するライヴイベントや、ショッピングセンターでのストリートライヴを数多く展開。 2011年の東日本大震災では、jamzIpが呼びかけ人となって関西のミュージシャン有志が集い「絆 ~神戸から被災地へ~」と銘打った復興支援ライヴイベントを、4月の毎週金曜日、全4回にわたって阪神・淡路大震災の被災地である神戸で行う。その模様はUSTREAMで全国に発信された。
昨年の2012年からは、jamzIpが「表現者が集い交流するライヴスペース&カフェ」として、神戸・六甲にあるフリースペースを使い「自由カフェ」を営業し始める。不定期営業ではあるが「自由カフェ」では随時、表現したい人たちによる様々なイベントが開催されている。
「自由カフェ」を作ることはjamzIpにとってかねてからの夢だった。よく真琴は、私を含む様々な人によく口をしていた。 「人間は誰でもアーティスト・表現者になることができる。そのような企画を次々とやってみたい」と。 昨年から開始した「自由カフェ」という形で、jamzIpの夢は結実した。
前置きが長くなってしまったが、7年の歳月を経て世に送り出された今作「音楽は旅をして」について、徒然なるままに書いてみたい。

前作「censord」は、「新しいアコースティックパンクの夜明け」と銘打ったように、すさまじい激情がほとばしる曲調・テンポとリリックで突き進む前衛的な作品となったが、今作は、全体の曲調はミディアムテンポに仕上がっている。
リリックはより叙情の深まりを強く感じる。デビュー当初から彼らの言葉は徹底的な「オンリーワン」の紡ぎ方だったが、新作では真琴・satoのリリックはより一層磨きをかけた跡が窺える。
リズムは、前作はヒロトの熱いパーカッションパフォーマンスが強い印象を与えたが、今作はヒロトが元々ドラマーだけあって、ドラムの重厚感ある音圧が加わり楽曲の印象をより鮮烈に与えるようになった。
メロディーはデビュー作・前作と比較して、音の多様性が増し、より叙情が深まったリリックに彩りが加わり、リリックの意味や世界観の想像を提供しようという彼らの意思が窺える。
ちなみに今作全体で、めざましい進化を遂げて楽曲制作に取り組んでいたのはsatoではないだろうか。
今作の11曲中7曲でsatoが作詞・作曲を手掛けている(但し「メッセージ」は作詞のみ、「2hands」の作詞・作曲は真琴と共作)。 デビュー当初は真琴が楽曲制作の中心という印象が強かったが、今作ではsatoが楽曲制作を牽引している印象を強烈に与えている。 特にそのハイライト的ナンバーは新曲の「ランドスケープ」だ。
この曲は、satoが結婚して一児の母となるというライフイベントを経験した後、satoが見渡した世界をストレートな思いを交えつつ、文学的なリリックで表現した秀逸な曲に仕上がっている。
彼女の急速な成長を遂げたのは、公私ともパートナーである真琴からのインスパイアーも大きいことは間違いないだろう。
もちろん真琴の貪欲な楽曲制作力は健在だ。 タイトルナンバー「音楽は旅をして」は、前述の「ランドスケープ」と並ぶハイライト的ナンバーだ。 この曲は、真琴の人生哲学の中には、人生で何度も苦悩を経験したことによって「流離(さすらい)」を覚え、彼の人生に「流離」の流儀を持って生きていると感じることができる。 その点においてsatoと真琴の共通認識としては「流離」の薫りがある。 でもただ無意味に「流離」をしているのではない。 「希望」という揺るぎない羅針盤をもって、この世界を「流離」をしている。 その「流離」を得ていることは、しなやかで強いように感じる。 jamzIpの楽曲の一音一音に耳を澄ませて聴くと、それを強く感じる。 聴いている、もしくは、これから聴くあなたも、きっと音楽を通じて運ばれてくる「流離」の薫りを感じるはずだと私は確信する。
「音楽は旅をして」を世に送り出したjamzIpは新しいジャンルをこの作品で提示しようと考えているのかもしれない。
これは私の推測だが、敢えて書かせてもらう。 彼らは「ネオ・アコースティック」というジャンルを根付かせようと。 彼らは1stアルバムを発表した時、このようなコピーをつけた。
「今まで誰も聞いたことのないアコースティック!」 そのコピーの根本は今作においても不変の意味を持ち続けているし、今後も変わらないだろう。 2013年に送りだした今作では、それをより日本の音楽シーンで根付かせてやろう、という気迫がみなぎっている。「ネオ・アコースティック」というジャンルを掲げて。
「ネオ・アコースティック」は、jamzIpだけしかない音楽ジャンルだ。
彼らは、人の心が「荒野」と化しつつある日本と世界に、彼らしか発信できない「ネオ・アコースティックの波動」を送り続けることだろう。 その波動は聴き手の心を、カラカラに乾いた枯れ木と砂と石しかない荒野から、多様性の生態系を育み、酸素を生み出す供給する森へと変えていくはずだ。
「つながりたい 今すぐに どこにいても ここにいる」
jamzIpの「ネオ・アコースティック」の発火点は、ここにある。

宮崎 よしあき【フリーライター(新人)】
1978年4月生まれ 大分県出身、大阪府在住

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